モーニング読み切り 僕の変な彼女

しばらく前に話題になった「僕の変な彼女」というモーニングの読み切りマンガについて。

ある日twitterをみていたら、東村アキコさんが「人生でベスト3にはいるくらいの傑作で、何度も泣いた」と、このマンガのことを絶賛していた。

私は「きせかえユカちゃん」連載していた頃から東村先生のファンで、全作品読んでいるくらいなので、東村先生がそんなにほめるならおもしろいかもと思って読んでみた。

読んだ感想は、一言でいうと、気持ち悪かった。

あらすじは死んだ元カノが彼氏の股関のおばけになって戻ってくるというもの。

股関のおばけのデザインは星のカービィにそっくり。

彼女は平凡な日常をかえてくれるユニークなキャラクターに憧れていて、そういう風に振る舞うようになり、彼氏もドラマの主人公になったような気分にさせてくれる彼女のことが好きになったのだが、次第に行動が突飛すぎてついていけなくなる。

泣けるポイントは、突飛な行動をとる彼女がほんとうはおとなしい性格で、彼氏に好かれるために、ムリしてキャラをつくっていたことがわかるところらしい。

はっきり言って、私は全然泣けなかったし、おもしろいとも思えなかった。

性的な描写があるが、そういうのも普通に読める方なので、その点で毛嫌いしているわけでもない。

好きな人に好かれるために明るくよそおう気持ちも、自分にも経験があるのでわかる。

でもなんとなく気持ち悪いマンガだと感じた。

それなのにtwitterでは泣けたという感想がいっぱいあって、モヤモヤした。

ただ、少数派ではあるが、能町ミネコさんや、竹内佐千子さんも、このマンガが嫌いと言っていたので、同じ気持ちの人がいてうれしかった。

マンガに合う合わないはあるので、この作品がダメというわけではなく、単に今の私との相性がわるかっただけで、いつかわかるときが来るのかもしれない。

なぜ嫌いと感じたか、わからないなりに分析してみる。

まず、好かれるために多少の演技をするのはアリでも、元の自分を隠してまで、ぶっ飛んだキャラづくりをするのは無理しすぎで痛々しいと感じたからかもしれない。

もし現実に、好かれるためにわざと変なキャラづけをしてる子が身近にいたら、なんとなくうさんくさいと勘づいて友達にはなれなさそう。

それを他人に好かれるためのけなげな努力とみる人もいるかもしれないが、私には愛されたい、関心を引きたいという、自己愛の空回りにみえる。

あと、彼女のぶっ飛んだキャラというのが、彼氏に性的にせまりすぎるというもので、その点も、男性にとって都合のよい妄想と感じて、共感できなかった。

彼氏は突飛なキャラがかわいいと思って付き合ったのに、だんだん付き合いきれなくなって結局振ってしまう。

その後、彼女が死んでしまい、股関のお化けとして戻ってきてから、付き合ってた頃の感傷にひたる。

峰なゆか先生も「男性の元カノへの感傷は最強」みたいなことを言ってたけど、要するに、責任を負わない立場で、ちょっと離れた距離感だからこそ、かわいく感じるのだろう。孫がかわいいのといっしょ。

まとめると、
彼女の「こんな変わった子なワタシかわいいでしょ♪(だから私をみて)」 
VS 
彼氏の「なんだかんだあったけど、元カノかわいかったよなぁ…(死んだ今だから言えることだけど)」
という、結局自分が一番かわいいもの同士の話だと思った。

誰かこの気持ち悪さをスパッと言語化してくれるとよいな。

好き嫌いも作品を読んで感じた自然な感情で、どちらかが正しくて、反対意見はダメということもないと思うので、この作品が好きな方は怒らないでいただけるとうれしいです。